読書備忘録 日本のカラクリ

 サンデープロジェクトの田原総一郎が、連載コラム「そこが知りたい!田原総一朗のギロン堂」から八十余りの項目を抽出し、加筆・再構成したのが本書である。一つ一つのテーマが短くまとめられ、更に、サーデープロジェクトでの討論をベースに書かれているので非常に読みやすく、また、楽しんで読める本である。彼の政治や政治家に対する考えが、素直に出ている本だと思う。

 政治の裏側は我々には全くわからないし、私には興味もないのだが、彼の政治家を見る目は非常に鋭く、また本質を突いていると思う。特に、何故、小沢自由党党首が、どんどん仲間を失い、小さな党になっていくのかを記した文書には頷いてしまった。曰く「彼は、筋を通す。筋を通すからこそ誰もついて行けなくなるのだ。」と。

 「サンデープロジェクト」や「朝まで生テレビ」はよく見るものの、彼の司会進行ぶりには、異論がある。もっと出演者の話を引き出して欲しい時が多々あるのにも関わらず、彼は「そんな難しい事言っても駄目。」「だから○○党は駄目なんだ!」と自分の意見で発言者の意見を止めてしまう。視聴者に分かりやすい事は重要だが、分かりやすいと言うことは、ミスリードに繋がる危険性も十分にあるのだ。発言者の発言を止めてしまうのではなく、その発言を、視聴者に分かりやすく解説するのが、彼の本来の役割だと思うのである。更に出演者に対して、二者択一を強引に迫る手法は、国の政治を危険な方向に導く危険性すらある。

 本の中でも、自民党が最近出演してくれなくなった、出演に対して規制がかかるようになったと嘆いている。出演する側にとっても、それがデメリットばかりでは、出演しなくなるだろう。結局、出演する事がメリットになる野党の、それも浮動票頼りの口の立つ政治家だけが、テレビに出るようになるのである。

 著者に対してはいろいろと反論があるものの、この本自体は、現状の政治を確認する上でも、分かりやすいテキストになっていると思う。



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