責任者は誰?

 最近お気に入りのCMが二つある。一つはIBMのシステムソリューションのCMである。その内容はというと、システムにトラブルが発生し、その現状分析と対策のための会議が行われている場面から始まる。その中、社長らしき女性が怒りの声をあげる。「全てをまとめる総責任者は誰なの?」。みんな黙ってしまうが、隣に座っている男性が小声で社長にこう言うのだ。「それはあなたですよ。」

 最初にこのCMを見たときに、思わず笑ってしまった。実際、こういう経営者は多いのだろうと思う。経営に関する判断は経営者がすべきなのに、自分で考えずに、社員のせいにする。政府のせいにする。景気のせいにする。結局、こういう社長がいる会社は、効果のある対策を出せずに、その使命を終えていく方向に進んでいくのである。

 経営者は、経営者になるときに、経営者とは何をすべきなのかを自問自答すべきなのだろう。社員とのコミュニケーションも良いが、コミュニケーションを取る事が目的になってしまうのは困るのである。また社員に、会社の混迷を解決するアドバイスを求められても困るのである。社員と経営者では会社に求めるものが違うのだから。

 もう一つのお気に入りCMは転職雑誌のCMである。これはあまり見かけないが、見た人なら必ず大笑いしているはずである。小学校で、ある生徒が転校になると言う設定。しかし、声は大人の声。そして、「あいつ何処何処へ転職するらしい。」という噂話をしているのである。転校する生徒が「みんなの事は絶対に忘れません。」と挨拶すると、それを聞いた二人の生徒が何か声を発する。しかし、その声は大人の声。二人が声を合わせてこう言うのだ。「絶対、嘘だ!」

 こう言う世相を反映したCMは見ていて楽しい。CMとしての効果があるのかどうか分からないが、少なくとも、CMなのにも関わらずTVにくぎ付になってしまう。最近は、面白いと思うTV番組が少なく、ほとんどスカイパーフェクトTVでCNNやCNBC、音楽番組をつけっぱなしにしておく事が多くなったのだが、こんなCMが増えるのなら、地上波TVも、見ても良いかなと思うのである。

 そういえば、星新一のショートショートにも似たような話がありました。ある星にテレビを売りこもうとして、サンプルのテレビを持っていったのだが、放映されるテレビ番組に、そこに住む宇宙人は何ら関心を示さないのである。これは、商売にならないかなと思ったら、CMが始まった途端に、その宇宙人たちはみんな興味を持ってTVの周りに集まってくると言うものである。単なる、ユーモアとしてこのストーリーを考えたのか、それとも、TV番組のつまらなさへのアンチテーゼとして書いたのかは分からない。しかし20年近い昔にも、TV番組とCMの関係を覚めた目で見ていた人がいるんですよね。



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