CABARET

 NYでミュージカルに目覚めたものの、帰国してからはミュージカルを見る機会がなく1年が過ぎてしまいました。久しぶりにミュージカルを見たいなと思っていたところ、『CABARET』が来日するとの事。早速、行ってきました。

 場所は赤坂ACTシアター。千代田線の赤坂駅を出るとすぐに、ACTシアターへ向かう階段。これを登りきらないと劇場に辿り着けないと言うのが、この劇場の難点。階段を登りきった時には、もうばてばて。

 劇場に入って、パンフレットを購入。サンドイッチをほおばりながら開場を待つ。NYスタイルを取り入れているのか、なかなか客席へのドアが開かない。客はみんな、ドアの外で待たされるんです。でも、この待ってる時間にパフォーマンスへの期待が高まってくるんですよね。

 席についてパンフレットを見ていると、開演のアナウンスも始まらないのに出演者がステージに現れて、煙草をぷかぷか吸いながら柔軟体操をしたり、共演者と話をしたりしている。多分これもパフォーマンスのうちなんだろうなぁと思っていると、開演のアナウンスが入りミュージカル『CABARET』が始まった。

 実は、席についたときに前の方だったのでちょっと嫌な予感がしたのですが、それはミュージカルがスタートすると現実のものになった。ストーリーの展開上、出演者がみんな煙草や葉巻を吸うのである。踊りながら葉巻の煙をくゆらせたり、MCが煙草の煙を吐き出しながら台詞を喋ったり。特に葉巻は臭い。ステージ上は煙草と葉巻の煙で充満。これが客席にまで流れてくるのである。前の方の席に座っていた私は、この煙にむせてしまい、咳が止まらなくなってしまった。咳を我慢するのに夢中で、ミュージカルを純粋に楽しめないまま、時間が過ぎて行くのです。飴玉をなめたり、腹式呼吸をしたり。そして音楽のボリュームが上がった時や、歌が終わってみんな拍手をしている時に、咳をすると言う繰り返し。これはつらかった。

 そして、もう一つミュージカルを楽しめなかったのが、ステージの脇に流れる日本語訳(テロップ)。歌の時も台詞の時もこれが流れるので思わずそちらを見てしまう。そのため俳優の細かな表情の変化を見逃してしまう事が度々。単語を全て聞き取れなくても、じっくり俳優の表情やしぐさを見ていたほうが楽しめるんですけどね。

 そうは言っても久しぶりのミュージカル。やはり本物の迫力は違います。オーケストラの演奏は、身体が自然とリズムを取ってしまうくらいにノリノリで素晴らしいものだったし、果物屋主人シュルツと下宿屋の女主人シュナイダートとの歌のやり取りも素晴らしかった。そしてサリーボウルズ役のアンドレア・マカードルの演技も妖艶とまではいかないまでも、なかなかのもの。特にラスト間近に歌うCABARETは圧巻。

 今回は、事前にCDを購入。何度も曲を聞いて予習をしていた事もあって、演奏される曲は全て頭に入っていたのですが、やはり生の迫力は違うんですよね。ストーリーもインターネットで色々調べていたのですが、やはり、実際に目の前で展開するストーリーはそういった頭で理解していたものとは違うんです。シュルツがユダヤ人と分かった時の各出演者の表情の変化などは、見ているこちらがどきどきするほどでした。

 ただ、ラストは今一つ。尻切れとんぼって感じ。あれ、これで終わり?って感じが否めませんでした。結局劇中での問題提起が何も解決されずに終わってしまうんですから。

 8月にはfosseが来日。これも今から楽しみです。



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