国債暴落

 一部の雑誌などで、日本国債暴落のシナリオがもっともらしく語られていた。その筋書きは以下の通り。

@現在、日本国債の格付はS&PはAAA(一番格付が高い)、Moody'SはAa2(上から3番目)。
A国債のリスクウェートは現在0%なのに対し、99年に発表されたBIS規制の見直し案によると、Aの格付の場合、20%となる。
Bリスクウェートは、BIS自己資本比率を計算する際、分母にくる指数。資産×リスクウェートを分母として、自己資本を計算する。
Cつまり、リスクウェートが高い場合、分母が大きくなるので、その結果として自己資本比率が小さくなる。
D日本国債のS&PやMoody'Sによる格付が、負債の増加によりAに引き下げられた場合、自己資本比率の分母が大きくなるので、これをさけるため、日本の銀行の多くは、国債を売却して、自己資本比率の低下を防ごうとするだろう。
E一気に、各銀行が日本国債を売却すると、国債は暴落するだろう。
これが、日本の国債暴落のシナリオであった。

 しかし、今週発表された、BIS規制の見直し案によると、このシナリオの可能性は大きく減ったのだろうと思う。

 今回の見直し案では、国債のリスクウェートに関しては、その国の金融当局の判断によって0%にしても良いことになった。日本の金融当局が、日本の国債を20%のリスクウェートで計算しなさいと、指導するはずがない。つまり、日本国債のリスクウェートは今後も0%となるだろうし、その結果として、日本の国債の格付がAに引き下げられたとしても、日本の銀行がBIS対策として日本国債を売る可能性はなくなったのである。

 この特例措置は、その国の銀行にのみ適用されるので、外国の銀行には適用されない。ただ、日本国債はその殆どを国内投資家が保有しているので、外国の銀行が大きく売却してくる事は無いだろう。

 しかし、日本政府が膨大な債務を粛々と返済し、その格付を引き上げていく事が一番望ましい事であるのは言うまでもない。



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