歯医者 パート2

 数本ある親知らずのうち一本だけは、「これだけは抜かなければなりませんね〜。」と歯医者に言われていた。そして今日がその、親知らずを抜く日だったのだ。先週の木曜日に、今日の予約を入れたので、一週間ずっとドキドキしていた。これは心臓に良くない。予約をもっと早めに入れて、さっさと抜いてもらうべきだったと後悔。何せ、歯医者に行ったのが小学校の時以来なのだから、当然歯を抜いたことなどない。どれくらい痛いのかが想像つかないのである。一週間ずっと、「歯を抜く」事が頭から抜けず、夢にまで見てしまった。

 席について、まずは麻酔をしてもらう。歯茎をメスで切られているみたいで少々痛い。その後、麻酔が効くまでの間に、他の歯の掃除をしてもらう。

 「では始めましょうか。」「はい、お願いします。」

 「なんか、歯の数が違うんですよね〜。もしかして乳歯かなぁ。」との歯医者の言葉。そしてその歯を抜くのだが、これは意外にもあっさりと抜けてしまった。全然痛くない。この程度だったら、他の親知らずも抜いてもらおうかしらと思うくらいである。で、抜き終わった後に、抜いた歯をしげしげと見つめて、歯医者が再度言った。「やっぱり、これは乳歯ですね〜。12〜3歳くらいから、この歯があったでしょう。」とのこと。この歳になって、乳歯というのも、情けない。「ははは。」と笑って誤魔化すしかなかったのである。



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