源泉分離と申告分離

 株式の課税方式は現在、源泉分離方式と申告分離方式の二通りである。これが来年からは申告分離課税に一本化されるはずだったのであるが、各界の反対にあい、現在は、源泉分離課税も存続の方向で見なおされる見通しである。

 しかし、この問題に関する今までの議論は非常に、不可思議なものであった。源泉分離課税存続派の主張は、株式の匿名性が失われると言う事。そして、その結果として株式投資から撤退する個人投資家が増えるだろうとのアンケート結果である。これに対し、源泉分離課税撤廃派の主張は、より正確な課税方法への移行の必要性にある。

 源泉分離課税は売却代金から計算される。取得額は関係ない。それに対し、申告分離課税では株式の収益に対して課税される。損失が生じているのに課税される事はない。

 本来課税と言うのは、収益に対して行われるべきであり、源泉分離課税なんていうのは、まやかしでしかない。申告分離課税に一本化すべきなのである。源泉分離課税の匿名性は、マネーロンダリングに繋がるものであり、これを重要視して厳選分離課税を残そうなどというのは言語道断。証券業界の後進性を示しているに過ぎない。

 ただし、問題が一つある。申告分離課税の税率が26%と言う事だ。一般に金融収益(利子や配当)に対する課税率は20%である。総合課税への移行が出来ないのであれば、申告分離の課税率は20%にすべきなのである。26%というのは、土地の売却益への課税率と同じ。つまり当局は株式の売却益を『金融収益』ではなく、『資産の売却』と認識しているという事である。何と言う時代錯誤か。

 これでは株式に投資するよりも株式投信に投資したほうが有利であり、もしかしたら投資信託業界の陰謀かとすら思えてくる。

 つまり、申告分離課税へ一本化して、その税率を20%にすればなにも問題なかったのであるが、源泉分離課税撤廃派、存続派、いずれも譲らなかったために、源泉分離課税という不公平な税制が、残ると言う結果になってしまうのかもしれないのである。

 このような解決方法が日本には多すぎる。何とかならないものだろうか。



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