ゼロ金利解除

 先週末に日銀より発表されたゼロ金利解除に関して、様々な意見があるようです。マスコミは政治からの独立と言った観点から、今回のゼロ金利解除を理解しようとしていますし、多くのエコノミストやストラテジストは、株価や景気の動向を7月時点と比較して、早過ぎると論じています。何故ならば、7月の金融政策決定会合で日銀は、「ゼロ金利解除をするには『そごう問題』の行方を見極める必要がある」と述べたからです。

 私は、金融政策会合前に、社内で「ゼロ金利解除があるかないか」の議論をしたときに、「ゼロ金利解除はある」側につきました。なぜならば「そごう問題」は解決したと考えたからです。

 ゼロ金利解除はないと考えた多くのエコノミストやストラテジストは「そごう問題」は解決していない。または、「そごう問題」の影響はまだ分からない。よって7月時点からは何も変わっていないのだから、ゼロ金利解除はないと考えていたように思います。

 この違いは何なのか。一言で言うならば、「そごう問題」とは何を意味するかにつきるのではないでしょうか。多くのエコノミストは今でも「そごう問題」を株価の下落、または消費の低迷による景気の悪化と捉えています。しかしながら日銀総裁、及び日銀幹部は先月の会合以降、「株価は心配していない。」「そごうの破綻は一企業の問題」と繰り返し述べています。にも関わらず、「そごう問題」=株価の下落、または消費の低迷と捉えているエコノミストは、いまだに、日銀の説明責任を問題視しているのだと思います。

 では「そごう問題」とは何を意味するのか。私は、「日銀の政府への不信」と考えています。もう少し詳しく説明すると、日銀は、「そごうの破綻をきっかけに、政府が世論に迎合し瑕疵担保特約条項を破棄し、その結果、日債銀の譲渡が白紙になり、金融システム不安が再燃する」というリスクを懸念したのではないかと思うのです。つまり「政府はそのような馬鹿な決断をする可能性があるから、一ヶ月様子を見よう。」というのが日銀の意味する「そごう問題」なのではないかと思うのです。そう考えると、1ヶ月前とは大きくその状況は異なりました。「瑕疵担保特約条項」はそのまま適用されることが決まり、日債銀の譲渡も、予定通りに契約が履行される可能性が高いでしょう。つまり、「そごう問題」は解決したのであって、これ以上、ゼロ金利解除を延期する理由はない。よってゼロ金利解除決定と考えても不思議はなく、日銀の市場との対話も、可能な範囲で行われたと考えるのが自然なのではないでしょうか。



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