ミュージカルづくし

 木曜日に、『ライオン・キング』を見ようとブロードウェイへ。しかし、ライオン・キングはソールド・アウト。こんな事、始めてである。いつも、当日に劇場のボックスオフィスで購入することが出来たのに、『ライオン・キング』はソールド・アウト。それだけ、人気のあるミュージカルと言うことだろう。

 仕方なく、『シカゴ』を観る。踊り主体のミュージカルである。前から2番目の席でかぶりつきなのだが、逆に出演者の化粧の濃さが気になってしまう。綺麗な人ばかりなのだが、化粧が濃いのでゲイのように見えてしまうのだ。そして内容も「男どもはどうしようもないよ。うちの旦那なんて・・・・。」てな話が延々と続く。踊りはさすがにみものだったし、がっちりした体格で堂々とソプラノを歌いきっていた俳優(本当に見事なソプラノを披露してくれたのです)が、最後にカツラを取って、男だったことが判明するというオチもあったが、全体的には『レ・ミゼラブル』や『アイーダ』を凌ぐようなものではなかった。

 金曜日。今日こそ『ライオン・キング』を観ようと、チケット・マスターで検索。観れないとなると、逆に何としてでも観たくなるのだ。しかし、当日券どころか、来週水曜日のチケットまで全てソールド・アウト。大した人気です。これで残念ながら、NY滞在中に『ライオン・キング』を観る可能性はなし。そこで、『キス・ミー・ケイト』を観ることに。

 しかし、ちょっと私には高度すぎました。基本的にコメディーなので、会話、言葉のやりとりが、このミュージカルの売り。しかし、セリフが早くついていけない。単語は全て聞き取れても、意味が分からないのだ。回りはげらげら笑っているのに、一人ぼーっと観ていました。

 そして今日は昼から『アニーよ銃を取れ』を観劇。しかし、これも『キス・ミー・ケイト』と同じ。笑いが基本なのでセリフが主体。ただ、これら二つのミュージカルは、アメリカの昔からの基本的なミュージカルという気がする。ジャズ音楽をバックに、出演者全員の華麗なダンス。そして主役の歌。そして笑いがいっぱい。舞台装置や効果音、ストーリー、そしてアクロバット的な踊りには頼らない。こういうミュージカルを隅から隅まで楽しめたら、楽しいだろうなぁと思うのですがね。もっともっと英会話の勉強が必要なようです。

 夕方からは『ジキル&ハイド』を観劇。時間があったのでCDを購入して、ストーリーと歌の歌詞をチェック。予習をするとミュージカルをより楽しむ事が出来るのです。

 看板にはセバスチャン・バッハ提供と書いてある。この劇場の前を通るたびに、セバスチャン・バッハって誰?と不思議に思っていたのですが、解説を読んで納得。セバスチャン・バッハというのはスキッド・ローというロックバンドのボーカリスト兼作曲家。スキッド・ローって実は私のエッセイに一度出てきているんですよ。そう。キッスのコンサートの時。キッスのコンサートに前座で出てきたのがスキッド・ロー。このバンドのボーカリストであるセバスチャン・バッハがこのミュージカルに曲を提供していたのです。そして、水曜日と土曜日以外は、セバスチャン・バッハがジキル/ハイド役として出演しているとのこと。残念ながら今日は土曜日。せっかくなら、セバスチャン・バッハの演じるジキル/ハイドを観たかった。

 しかし、ジキル/ハイド役とエマ役、そしてルーシー役の俳優の歌と演技は見事でした。特にエマ役とルーシー役が掛け合いをするところなどは、お互いに声量を競うよう。すばらしい声を聞くことが出来ました。ジキル/ハイド役も、素晴らしい声だった。ただ、土曜日は昼夜の二回公公演。さすがにのどに負担がかかっていたのでしょう。一部、声がかすれてしまっていたのが残念でした。

 席は一番前でかぶりつき。俳優が喋る時に唾が飛ぶのまでよく見える。ハイライトのジキルが死んでしまうところなどは、目の前でジキルとエマのやりとりを観ることが出来ました。しかし、ステージが高いので、後ろの方で何かやっているのは全然見えない。特に大勢が出てきて踊るところ等は、一番目の出演者の踊りしか見えないのだ。その上、舞台全体を見渡すのも至難の業。首が痛くなりました。更に、曲の方はというと、一つの音符に一つの音節を乗せるのではなく、一つの音符に多くの言葉を詰め込んでいるために、せっかくのメロディーが死んでしまっている。こういう曲の作り方が、今は流行なのでしょうかね。

 まだまだ観たいミュージカルはたくさんあるし、もう一度観たいミュージカルもたくさんある。しかし、NY滞在は残り僅か。残りの日々で何を観るか。思案のしどころである。



back to my homepage


WebMaster:Kimihiko Uchida bobubeck@can.bekkoame.ne.jp
or otherwise qzg00456@nifty.ne.jp
©copyright 2000 Kimihiko Uchida