アポロ・シアター

 数多くの有名なミュージシャンを世に送り出したアポロ・シアター。一度は見てみたいと思いながらも今まで機会がありませんでした。なぜなら、アポロ・シアターは現在殆ど使われていない。毎週水曜日にアマチュア・ナイトが開催されている他は、月に数回のコンサートがあるだけなんです。つまり、水曜日しかアポロ・シアターでのパフォーマンスを楽しむ機会はないんです。その上、ハーレムという危険な土地柄。昼間に劇場の前を通り写真を撮ったことはあるものの、夜にここまで来るのは、ちょっと気が引けていたのです。

 しかし、今日は水曜日。ニューヨークの夜も残り少なくなったことから、意を決してアポロ・シアターへ行くことにしました。地下鉄のAC線(青)に乗って125丁目駅へ。駅を降りてびっくり。道路は広い上に車はガンガン通っている。お店も、ビレッジなんかよりもずっと綺麗。スターバックスや靴のチェーン店、マクドナルド、HMVが通りに面して軒を連ねている。ここは本当にハーレム?という印象です。

 そしてアポロ・シアターの前は人だかり。アポロのネオンが歴史を感じさせます。

 アポロ・シアターでチケットを購入。一番高いチケットでも21$。これを購入し、20$のT/Cと、現金1ドルを出そうと思ったのですが。。。。。。細かいお金がない。財布の中には50$札が3枚入っているだけ。ボックスオフィスのお姉ちゃんは「1$はないの?」と言うんだけれども「アイムソーリー。あいにく1$札は持っていないんだ。」と言うしかない。困っていると、後ろから手が伸びて1$を出してくれた人がいた。若いお兄さんなんだけど、見かねて1$を出してくれたって訳。感謝感謝。

 会場内は、ミュージカルの劇場とほぼ同じ感じ。オーケストラ席と二階席があり、オーケストラ席の前の方は、ステージからすぐ近く。緞帳の横には木製のスピーカーが積まれてある。

 そして会場内には日本人の多いこと、多いこと。ブルーノートよりも多い。ニューヨークに来てから、今までにこんなに多くの日本人を一度に見たことはなかった。それくらいに多くの日本人が、アポロ・シアターでのパフォーマンスを見に来ていた。

 7時半を少し過ぎてアマチュア・ナイトがスタート。まず最初は、会場から参加者を募ってダンス大会。「私が出たい!」「「俺が踊る」と会場の多くの人が手を挙げる。その中には日本人の姿も。結局10人ほどステージに上がったのですが、そのうちの3人は日本人。若い日本人の女の子は、随分派手に踊って、商品のTシャツをゲットしていました。二人のおじさんも、物怖じせずに司会者の質問に答え、下手な踊りを披露していた。日本人も変わったものです。外人の方が恥ずかしがって、踊り出してすぐにステージ袖に引っ込んでしまうのですから。

 ダンス大会の後は、メインのショーがスタート。アマチュア・ナイトって要は素人のど自慢大会。「NHKのど自慢」を思い浮かべれば分かりやすい。下手だと鐘一つですぐに退場。上手ければ最後まで歌えることが出来、鐘が打ち鳴らされる。アマチュア・ナイトの場合は、審査員は会場の観客。下手だと、会場のブーイングですぐに退場。上手だと会場からは拍手、そしてスタンディングオベイション、最後まで歌えれば合格というシステム。合格したパフォーマーはショーの最後に再び会場に登場して、合格者の中で優劣を競うわけです。その優劣も、会場の拍手が基本。拍手の多い順に1位から4位までが決定されます。

 こののど自慢大会にも二人の日本人が登場。一人は若い男の子。マイケルジャクソンのABCを振り付きで踊り拍手を浴びていました。もう一人は若い女性。イブニングドレスを着て登場し、熱唱。結局4位に入賞。

 しかし、ミュージカルで本物の歌を聴いてしまった私にとっては、こののど自慢大会は、それほどの感動を得らるものではなかった。確かにみんな上手なんですが、所詮素人。その上、1曲だけのチャレンジですから、みんな熱唱型の歌を披露する。最後まで聴いていると飽きちゃうんですよね。

 優勝したのは黒人のお兄ちゃん。低音と高音の声の出し方を変えることで、聴いていて楽しい歌を披露してくれました。

 ショーが終わり、会場を出て、さぁどうやって帰ろうかと思案。安全になったと思っても、やはりハーレム。帰りはタクシーが安全かなと考えたのですが、外に出ると、人通りがやけに多い。バス停にも多くの人が待っている。そして、ストリート毎に数人のポリスがグループになって警備している。アポロ・シアターの前にも二人のポリスが組になって、何度と無く通り過ぎる。これだけポリスがいれば安全。ジュリアーニ市長のおかげですね。まぁ、それだけのポリスがいると言うことは、潜在的に危険な地域であることには変わりはないという事でもあるのでしょうけれども。

 地下鉄の駅にも数人のポリスが警備中。これなら地下鉄で帰っても大丈夫だろうと判断して、地下鉄の改札を通りホームへ。ホームにもたくさんの客が地下鉄を待っていました。ニューヨークは本当に安全な町になったんだなと痛感して、帰宅したのでした。



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