ボストン 二日目

 ホテルへの不満は朝から募る。朝食付きとの触れ込みだったのだが、受付の横にオレンジジュースが置いてあるだけ。「朝食ってのは、このオレンジジュースのことか?」と聞くと、「いやそこにコーヒーもあるだろ。マフィンも後から来るよ。」とのこと。そのマフィンはすぐにやってきたのだが、どこで食べるのかと思ったら、自分の部屋に持っていて食えとのこと。つまり一階までわざわざ、マフィンとオレンジジュースを取りに降り、それを持ってまた自分の部屋に戻らなければならないのだ。B&Bじゃあるまいし、セルフ・サービスのホテルなんて聞いたことがない。これなら、安いカプセルホテルに泊まって、近くのマクドナルドで朝食を取った方が安く済むだけましってもの。ボストンに、カプセルホテルというものがあるのかどうかは知らないが。

 朝食を取り終え、チェックアウトし、ボストン美術館へ。町のはずれにあるのだが、地下鉄の駅からはすぐ近く。ホテルから地下鉄の駅まで行く事の方が遙かに面倒なのだ。重い足を引きずって、なんとか地下鉄の駅に到着。1トークン85セント。マンハッタンよりは安い。地下鉄に乗り込むとすぐに、MFA(ボストン美術館、ミュージアム・オブ・ファイン・アーツ)に着いた。

 開館時間は10時。到着したのは10時をちょっと過ぎたくらいだったが、既にチケット売り場は長蛇の列。12ドルのチケットを購入し、見取り図を手に中に入る。まず西洋画のエリアへ。私の好きなターナーの絵は見つからなかったが、いくつか気に入った絵は見つかった。一つはChilde HassamのBoston Common at Twilight。夕日の中を家族が歩いている絵だ。オレンジ色に染まったボストンコモンがやけに綺麗。もう一つはAlbert BierstadtのValley of the Yosemite。同じ画家の作品がいくつか飾られていたが、この絵が一番、すっきりとした構図で気に入った。その他にはモネの作品やゴーギャンの作品が目に付いた。この美術館でやっと気がついたのだが、モネは近くで見るよりも遠くから眺めた方が美しいということ。近くで見ると、筆のタッチが目立って粗く感じるモネの絵も、遠くから見ると、穏やかな色調と、ありふれた題材が、妙に心を和ませる。

 しかし感動はここまで。他のエリアには食器や家具など私には興味のないものばかり。仏像もたくさん展示してあったが、やはり仏像は寺にあってこそ、その真価を発揮する。美術館で仏像を見ても、なんとなく、しらけた感じがするのである。そしてエジプトの壁画やミイラなどの展示も、今ひとつ。

 昼食は、美術館の中にあるカフェテラスで。美術館の近くにレストランはなさそうだし、仕方がない。ハンバーグとアイスコーヒーを注文。食べ終わってチェック。16$だったが細かいのがなかったので50$紙幣を出したら、なんと1$札で34枚のお釣り。は〜。

 午後も美術館を回るが、西洋画以外に私の興味を惹くものがなかった。そこで最後に、もう一度西洋画のエリアへ。モネの絵を再度、遠くから眺める。見れば見るほど、この絵が好きになっていく。

 美術館を出て、ボストンコモンへ。そこからショッピング街を散歩。とは言ってもショッピングに興味は全くないので、店にはいることはない。歩いていると、植民地時代の集会所、オールドサウス集会所というのが目に付いた。

 ここで、独立戦争が起きるまでの、様々な決定がなされていたとのこと。しかし、中にはいると何もない。教会のように席がたくさんあるのだが、パイプオルガンがあるわけでもステンドグラスがあるわけでもない。しかし3$の入場料を取るのである。なんだかなぁ。

 この集会所の裏にはボストン虐殺地跡というのがある。しかし行ってみると、単なる石碑。

 まだフライトまでには時間がある。しかし、ボストン茶会船ビーバーまで行くには時間が足りない。諦めて、タクシーに乗り込んだ。空港に着いたのは3時半。「フライトは5時ですが、4時のフライトに変更できますよ。」とのこと。しかし、ゲート横にあったリーガルシーフードが目に付いたので、フライトの時間は変更せず。

 チェックインして、すぐにリーガルシーフードに向かう。ドラフトビールとロブスターの小さいやつを注文する。ロブスターにはクラムチャウダーかサラダが付いている。当然、クラムチャウダーを注文。昨日のお店ではクラムチャウダーなんて一言も言っていなかったのに。。。

 これが妙に美味い。そしてロブスターも卵巣とみそがお腹にぎっしり詰まっていて、言うことなし。ビールが妙に腹にしみる。気分良くなって、ゲート横の待合い席に戻る。フライトの20分前。これで飛行機に乗れば、ぐっすり眠れ、気が付いたときにはニューヨークだ。と計算していたのだが。。。。。。

 いつまで経っても搭乗の案内アナウンスがない。5時を10分ほど過ぎた頃に、「ニューヨークが大雨のため、着陸できない。フライトの時間を遅らせます。」とのアナウンス。しょうがないなぁ。しかし、アムトラックで帰るとすると5時間はかかるだろう。多少遅れても、フライトを待った方が結局は早くニューヨークに着けるはず。そう考え、待合い席で待つ。しかし6時になっても搭乗の案内は無い。結局搭乗が始まったのは7時。そして我々の乗る飛行機以降に搭乗予定だったフライトは全てキャンセルされていた。

 搭乗後も飛行機は動かない。空き席がいくつかあり、空港には、次の飛行機に乗ろうとして待っていた客が何人もいるので、その客を乗せたいとのアナウンス。結局、離陸は8時。3時間の遅れである。

 ラガーディア空港には9時に到着。しかし、飛行機が遅れたおかげで、アパートに着くまでマンハッタンの夜景を楽しむことが出来た。そう考えないとやってられない。結局アパートに着いたのは10時。散々なボストン旅行であった。ま、仕事でなければ二度と行くことはないだろう。



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