ボストン

 朝から激しい雨。もしやと思い、インターネットでボストンの天気を調べたら、今日は曇りだが明日は雷雨とのこと。何となく嫌な予感。しかし、チケットを無駄にするのも考え物。諦めて、タクシーに乗り込んだ。「ラガーディア空港まで。」

 「前回、ワシントンに行ったときにも雨。そして今日も雨。俺はついてないよ。」というと、このタクシーは「他にも、同じ飛行機に乗っている人がいるんだから、おまえがついていないわけではないよ。でも、おまえはレイニー・フライヤーだな。」「こういう雨の日は、奥さんや子供とチェスをするのが一番だよ。」と、なかなか面白い運ちゃんだった。空港について、飛行機に乗り込む。うとうとしている間に、もうそこはボストン。

 空港からタクシーに乗り、予約してあったホテルへ。「シャンドラー・イン」と何回言っても通じない。地図を見せると、「あぁ、シャンドラー・インね。」とのこと。だからシャンドラー・インと言ってるだろう。。。しかしこの運ちゃんも、話好き。「おまえはチャイニーズか。」と言うので「いや、ジャパニーズだ。」と言うと、「大阪や東京に行ったことがあるよ。お寿司が美味しいよね〜。」と、しばし、食い物談義。結論は「結局、全ての食い物はうまいんだよ。」ということに。

 ボストンに来て感じるのは、ここが非常に安全な街なのだろうと言うこと。タクシーの運転席と客席との間に仕切はない。マンハッタンのタクシーとは全く違うのだ。また路上には自動販売機が設置されている。日本ほど多くはないが、ジュースの自動販売機を、いくつかの場所で見かけた。

 しかし、ホテルについてから災難は始まった。チェックインをしようとすると、「部屋の用意が出来ていない。チェックインは3時からだ。」とのこと。予約した時には、何時からでもチェックインできると言っていたのだ。チェックインできないのだったら、タクシーでここまで来る必要はなかった。ちょっとムッとしたがしょうがない。諦めて荷物を持ったまま、ホテルを後に。しかし、このホテル、立地が非常に悪い。一応ダウンタウンにあるのだが、地下鉄の駅もバス停も近くにないのだ。その上、タクシーも見当たらない。歩いてボストンコモンまで行くしかないのだ。

 ボストンコモンの近くまで来ると、ツアー・バスのチケット売り場が。前回のワシントンの経験を生かし、早速ツアー・バスのチケットを購入。観光地では、ツアーバスが一番効率的に、あっちこっちを回れるのだ。その上、乗り降り自由。これを利用しない手はない。

 バスに乗り込み、まずは、クリスチャンサイエンス教会へ。「でかい地球儀の中に入って、地球儀の中から世界を眺めることが出来る」というガイドマップの解説に惹かれたのだ。しかしバス停を降りて、いくら探しても見当たらない。地図と首っ引きで何とか場所を見つけたが、そこは、バス停からは10分以上歩かないと、辿り着かないような場所にあった。どうも、このツアーバス。殆どのバス停がホテルの前に設置されており、観光地からはちょっと離れているのだ。バス停を降りてから、多少歩かないと、目指す建物や史跡に辿り着けない。なってこった。

 クリスチャンサイエンス教会にたどり着いて、まずは教会の中へ。この教会は、信仰で病気も治すことが出来るとか言う教えをもとに広く信者を集めているとのこと。教会も立派だが中にあるパイプオルガンも凄かった。思わず写真を撮ったら、後ろから受付の女性が来て、「ここは写真撮影が禁止されています。」とのこと。しかし、「パイプオルガンが見事だね〜。」と言うと、パイプオルガンの鍵盤があるところを見せてくれて、「パイプは13000本以上。鍵盤の横にあるストップ(音色を調整するキー)は200個以上あるのよ。」とのこと。それにしても、この成金趣味はどうも、どこかの宗教団体を思い出す。

 ガイドに書かれていた、でかい地球儀が見当たらないので、どこにあるのかと聞くと、隣の建物にあるけど、今は改築中で見れないとのこと。しかたがないので、バス停まで戻り次の目的地へ。

 トリニティ教会近くのバス停で降り、まずはオールドサウス教会へ。ここもでかいパイプオルガンが見事。そしてステンドグラスも綺麗。オルガン奏者がパイプオルガンを弾き始めたので、しばし鑑賞。

 次は、トリニティ教会。ここは、今までに見た他の教会よりも、芸術性を非常に重視しているような気がする。建物の外観も美しいが、中のステンドグラスもカラフル。そしてパイプオルガンも礼拝堂の後ろ側に、ステンドグラスを飾るようにして配置されている。建物全体が一つの芸術と言った趣。そして壁に描かれている絵も見事。

 ここでも、オルガン奏者が練習のためか、パイプオルガンを弾き始めた。椅子に座ってしばし鑑賞。パイプオルガンの音が礼拝堂の中全てに響き渡り、とても心地よい。教会というのは、建物全体が一つの楽器でもあるのだ。

 トリニティ教会を出て、隣にそびえ立つジョン・ハンコック・ビルディングへ。展望台へと向かう。

 ここで、ボストンを眺望。上から見ると、緑が非常に多いことが分かる。必ず、家と家の間には木が植えられている。それがあたかも、緑色の敷居で家と家を隔てているようにすら見えるのである。

 ジョン・ハンコック・ビルディングを降りて、その後は、ツアーバスに乗ったまま、コースを一周。桟橋では、ボストン茶会船ビーバーなどを見学できるのだが、観光客の数に圧倒され、怖じ気づいてしまった。滅茶苦茶、人の数が多いのだ。ボストンに来た観光客の全てが、ここに集まっているかのよう。クルーズのチケット売り場も、長蛇の列。バスから眺めるだけで十分です。私は。



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