マジソン・スクウェア・ガーデン

 一度はマジソン・スクウェア・ガーデンでコンサートを見てみたいと思っていた。しかし先月は、ほとんど毎日がブルース・スプリングスティーンのコンサート。そして全てチケットはソールドアウト。さすがにダフ屋からスプリングスティーンのコンサートを見るために高い金を払うつもりはないので、マジソン・スクウェア・ガーデンに行くのは無理かなと思って諦めていたのです。しかし、調べてみると今日はダイアナ・ロス&シュープリームスのコンサートでチケットもソールドアウトにはなっていない。これは絶好のチャンスと、34丁目駅、ペンステーションまで、出てきたのです。

 ペンステーションの電光掲示板にはでっかく『ダイアナ・ロス』の文字が。こういうのを見るとだんだん盛り上がってくるんですよね。

 ボックスオフィスで「今日のチケットはあるか?」と聞くと、「いくらのチケットが良いんだ?」とのこと。しかしチケットの値段を見てびっくり。最高価格は256ドル。今までにこんな高いチケットは見たことがない。確かに日本でも、超有名シンガーのディナーショーなんかで10万円なんて値段を聞くことがあるが、普通は高くても1万円台である。さすがに256ドルのチケットには手が出なかった。

 で、その次の値段を見ると128ドル。DRAMじゃないですよ。更に安いチケットは64ドルではなく58ドルでしたから。

 仕方なく128ドルのチケットを購入することに。アリーナではないが、前から5列目。ステージにも近く、前の人が立っても、ショーを十分に楽しめそうなロケーションである。その後、パンフレットとTシャツを購入。前回のKISSコンサートのような失敗は繰り返さない。面倒でもコンサートが始まる前にパンフレットは忘れずに購入しなければならないのだ。

 席について周りを見回す。ここがマジソン・スクウェア・ガーデンかぁ。東京ドームや武道館に比べると小さく感じる。特にアリーナ部分の面積が小さいのである。ま、なんてことはない。普通のコンサート会場である。そして、相変わらず出足は遅い。開演30分前になっても客の入りは3割程度だ。老夫婦やおばさんの団体が多いのが今回のコンサートの特徴。シュープリームの曲を若いときに良く聞いた年代なのだろう。

 開演時間を30分以上過ぎてようやく、会場内に開演を知らせるブザーが鳴る。会場が暗くなって、ステージにスポットライトが当たる。そしてカーテンが開いてダイアナ・ロス&シュープリームスの登場。場内大拍手である。

 「みんな昔を思い出して楽しんでね。」とのダイアナ・ロスの言葉通り、のっけから大ヒット曲の連発。曲名を知らなくても、どこかで聞いたことのあるような曲ばかり。それだけ、彼女達が多くの曲を世界中にヒットさせてきたと言うことだろう。ストップ・イン・ザ・ネイム・オブ・ラブでは会場みんなが、手を前にかざして「ストップ・イン・ザ〜♪」と大合唱。お爺ちゃんもお婆ちゃんも、同じように踊っている。

 ダイアナ・ロスは2〜3曲歌い終えるたびに舞台袖に引っ込んで衣装替え。結局6〜7回は衣装を変えていた。最初は銀ラメの。そしてその後は、赤いパンツ。黄色いドレス。黒のドレス。等々。

 ある曲の途中では、ダイアナ・ロスが客席に降りてきて、客と一緒に大合唱。握手だけではなく、客にキスしまくり抱き合っている。こんなところが、客に親近感を与え、人気が衰えないのだろう。本当に友達のように、客とキスをして、話しかけているのだ。そして、アリーナをぐるっと一周して、ステージに戻ったところで曲が終了。実は非常に計算されたステージ演出なのである。

 日本ではショーの最中に、食べ物を食べたり飲み物を飲んだりなんて事は御法度だが、こちらでは全然平気。それどころか、野球場のように、ショーの最中にもポップコーンやビール、シャンペンを売り子が売り歩いているのである。

 衣装で楽しませ、音楽で楽しませ、MCで楽しませる。更に客席に降りて客と会話。その上、客席では飲み物や食べ物のサービス(有料ですけどね)。これでもか、これでもかと客を楽しませようとするアメリカのエンターテイメントにかける執念は凄いと思う。そして最後は会場内に紙吹雪が舞い上がって、コンサートは終了。

 思った以上に楽しめたコンサートでした。気分良くアパートに戻って、メールをチェックしていたところ、突然部屋の電気が消えた。電球が切れたのかと思い、近くのコンビニで買ってきて取り替えたのだが、それでも部屋は明るくならない。そういえば、テレビの電源も切れている。クーラーも切れている。停電かと思ったが、時計の電気はついているし、ドライヤーのスイッチをつけてみるとちゃんと動く。停電ではないようだ。ブレーカーもチェックしてみたが全てオンになっている。理由が全く分からない。なんてこった。せっかく気分良く帰ってきたのに、クーラーの利かない蒸し暑い、真っ暗闇の中で寝る羽目に。



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