KISS

 チケットマスターのWebsiteを見ると、今日、コンチネンタル・エアライン・アリーナでKISSのコンサートがあるとのこと。意を決して、行ってみることにした。ニュージャージ・トランジットで、「コンチネンタル・エアライン・アリーナに行きたいんだけど。。」と訪ねても、「分からない。」とのこと。「イースト・ラザフォードのメドーランド・スポーツ複合施設にある、コンチネンタル・エアライン・アリーナのことなんだけど。」と言うと、「イースト・ラザフォードだったら76番のバスに乗ればいい。」との解答。先日同じ質問をしたときには、「ここから直接は無理だから、ホボケンまで行って、そこから乗り換えるしかないよ。」との返事だったのに。いいかげんなものだ。

 76番のバスに乗り込んで、イースト・ラザフォードまでと告げる。「メドーランド・スポーツ複合施設に行きたいんだ。」と運転手に言うと、「パターソン通りで703番に乗り換えると良い。」と教えてくれた。しかし、そのパターソン通りがどこにあるのか分からない。渡された時刻表にも簡単な地図しか掲載されていない。バス停で確認しようとしたが、バス停には時刻表も正確な行程を表した地図もなく、ただ「bus stop」と書かれているだけだ。その上、「次は○○停留所。次は○○停留所〜。」といった車内放送が全くないので、バスに乗っていても、今どこを走っているのか全く検討がつかない。しかも、丁寧に全部の停留所に停車してくれるわけではないのだ。「降りる」と意思表示をしないと、バスは停留所を通り過ぎてしまう。

 しかし、乗客はみんな、降りたいバス停の近くになると、窓際にあるスイッチをおして次々に降りていく。このスイッチも最初は、スイッチだと思わなかった。黄色い縦長(30cmくらい)の繊維が窓際に何本も張られているだけ。この黄色い繊維を押すと、ピンポンと音がして、前方に「次のバス停で停車」と表示されるのだ。

 一番前に座っている車掌(車掌ではなく単なる人の良いおじいさんなのかもしれない)に「パターソン通りは、ここか?」と訪ねてみた。すると、「次の次だよ。」と教えてくれた。で、そのバス停で、乗り換えることに。乗り換えのバス停も、このパターソン通りのバス停からは、少々遠い。このおじいさんが、「まっすぐ行って、右に曲がったところに703番のバスの乗れるバス停があるから。」というので、そこまで行ってみると、右ではなく左(確かに彼はturn rightと言ったはずなのだが)にバス停があった。そこで703番のバスを待つことにしたのだが、なかなかバスが来ない。諦めてタクシーに乗ろうとしたが、タクシーも通らないのだ。20分くらい待っただろうか。ようやく703番と書かれたバスがやってきた。それに乗り込んで、メドーランド・スポーツ複合施設へ。

 メドーランド・スポーツ複合施設で降りたのだが、そこは、だだっ広い駐車場。遙か遠くにスタジアムらしき建物と東京ドームのような形をした建物が見える。多分、このどちらかだろうと考え、とぼとぼと歩いて向かう。駐車場と言っても車はほとんど止まっていない。要は、人もいない、車もないアスファルトの上を一人で歩いていかなければならないのだ。ようやくスタジアムにたどり着いたときにはへとへと。これで、「チケットは売り切れです。」なんて言われたら、救われないな。

 スタジアムのボックスオフィスで「KISSのコンサートはここか?」と訪ねると、「あっちのアリーナだよ。」とのこと。また、とぼとぼとアリーナに向かって歩いた。

 アリーナにたどり着いて、ボックスオフィスで、「今日のチケットは、まだあるか?」と聞くと、「大丈夫だ。いくらの席が良いんだ?」とのこと。「一番高い席が良い。」と言うと、「85ドル。」とのこと。チケットをゲットして、アリーナ席に向かう。席は前から7列目の一番端。端といってもそれほど横に広くないので十分にステージが見渡せる。当日券でこれだけ良い席がゲットできるというのが信じられない。しかしこれがアメリカの良いところ。席を確認した後、パンフレットを購入しようとアリーナを出ようとしたのだが出口がない。入り口はあるのだが、全てエスカレーターになっているのだ。多分コンサートが終わった時には、このエスカレーターが逆向きに動くのだろう。仕方がない。コンサートが終わってからパンフレットは購入することにしようと、席に着いた。

 7時にコンサートがスタート。まずはSKID ROWというパンクorハードロックのバンドが前座で登場。客席は3分程度の入り。しかし、その少ない客相手に、熱のこもったショーを展開。なかなか頑張っている。しかし、いかんせん、音がひどい。アリーナと言うこともあるが、音がぐるぐる回って、何を演奏しているのか皆目分からない。まぁ、コンサートなんてこんなものでしょうけれども。

 7時40分くらいにSKID RAWの演奏が終了。いったん休憩。8時過ぎにまた場内が暗くなった。KISSが登場かぁぁぁと思ったら、テッド・ニージェントというバンドが登場。トリオ編成で、ギタリストがインカムをつけて、歌とギターを弾きまくる。さきほどのSKID RAWよりも、技術的に数段上。演奏もこなれている。しかし、前座が二つも登場すると言うことは、ショーは何時に終わるのだろうと、ふと不安になる。

 8時40分頃に、テッド・ニージェントのショーが終了。アンコールではインディアンのスタイルで登場。ギターに矢を放ち、ギターが爆発するなど、前座なのに結構凝ったショーを展開してくれた。

 その後、またもや休憩。この頃に、ようやく、席の9割方が埋まってきた。みんな出足は遅いのだ。

 9時10分頃に会場が暗転。会場に「ウオーーーーーー」と地響きのような歓声が沸き起こる。ステージの横に配置された、KISSのメンバーをかたどった風船が徐々にふくらみ、ステージを覆っていた黒幕がストンと落ちる。そしてKISS登場。うあぁぁぁぁあぁ。本当にKISSだ。中学生の頃、良く写真を見て一度はステージを見てみたいと願っていたKISSが目の前にいる。写真で見たのと同じメークをして、同じ衣装を着て、ステージにKISSが立っているのだ。

 会場の歓声も凄いが、演奏の音も凄い。前座とは格が違う。回りの客を見てみると、何人かは耳栓をしている。耳栓をしなければ、前の方でコンサートを楽しむことなど不可能と言った感じの大音量なのだ。そして、ライティングも派手。ステージにセッティングされた赤や青のライトとスポットライトが派手にKISSのメンバーを照らしている。更に、ステージ後方で花火はガンガン打ち上げられるし、炎は何度も燃え上がる。KISSの事を知らなくても、胸がどきどきしてくるようなコンサートなんです。

 仕掛けも盛りだくさん。エースがギターソロを弾いている最中に、ギターのピックアップ部分が燃えだしたり、ギターのネック部分から火柱が飛んで、天井につるされたくす玉に命中して紙吹雪が会場内を舞ったり。クリスがドラムソロを叩いているときには、ドラムが天井にまでせり上がり、花火がドラムセットの回りをぐるぐると飛び回る。

 当然、みんなが期待する、ジーン・シモンズの血を吐くシーンも間近で見ることが出来ました。

 ポールは天井からつるされたブランコで客席の中を飛び回るし、ジーンシモンズだって負けずに、天井まで飛び上がって、そこからほえまくる。

 そして最後は、紙吹雪がステージから会場めがけて吹き付けられ、会場内が紙吹雪で埋め尽くされて、コンサートは終了したのでした。時計を見たらなんと11時過ぎ。会場を出たところでパンフレットをゲットしようとしたが売店は既に閉店。コンサートの時は必ずパンフレットを購入する事にしているのに、こんなに興奮したコンサートのパンフレットを購入できないのは、至極残念。やはり、コンサートの始まる前に、買っておくべきだった。

 さて、どうやってニューヨークに帰ればよいのだろう。そもそも、マンハッタンに帰ることが出来るのだろうかと不安になったが、会場を出たところで、係員に「バス停はどこだ。」と聞いたら、「まっすぐ行って右に曲がったら、Bゲートの前にマンハッタン行きのバスがあるよ。」とのこと。疲れたのか、バスに乗った途端に眠りこけてしまった私は、ふと気がつくと、そこはもうマンハッタン。何とか無事にアパートに辿り着くことが出来ました。



back to my homepage


WebMaster:Kimihiko Uchida bobubeck@can.bekkoame.ne.jp
or otherwise qzg00456@nifty.ne.jp
©copyright 2000 Kimihiko Uchida