バード・ランド

 ミュージカルを見ようと42丁目まで出てきたのですが、劇場街についたときには、8時10分前。これでは、夕食を食べている間に8時を過ぎてしまう。ほとんどのミュージカルは8時スタートなのだ。夕食を食べずにミュージカルを見るという暴挙に出ようかと思ったが、ショーの途中で腹がグ〜となるのも恥ずかしい。そこで今日は、ミュージカルを諦め、バードランドへ。電話でショーの開始時刻を確認したところ、9時と11時とのこと。これなら、夕食を食べた後でも十分に間に合う。

 このお店、前回ニューヨークに来た時にも訪問した、ジャズのライブ演奏のお店。ブロードウェイの劇場街からちょっと西の方に歩いたところにある。前回来たときは、カルテットで渋いジャズを演奏していたように記憶している。そこで、近くのサンドイッチ屋で夕食を取った後に、バードランドに入ろうとしたのだが。。。。。

 ドアを開けてみてびっくり。前回来たときとは、雰囲気が全然違う。前回の時は、客もほとんどいなくて、静かに音楽を楽しむことが出来た。ところが今回は、ドアを開けた途端に甲高い笑い声。テーブルは全て満席。バーエリアしか座れないのである。そして、ステージ上には、数多くの椅子が。つまり、ビッグバンドのショーだったのです。

 9時前から、各プレイヤーが音あわせを始め、更に店内は騒がしくなる。そして、9時丁度に、ピアニストが立ち上がって、リズムを取りだした。そしてショーがスタート。バンドの名前はVINCENT FALCONE ORCHESTRA。そして、最初の曲が終了した時、そのピアニストは再度立ち上がって、「ボーカルは、STEVE LIPPIA」と紹介。割れんばかりの拍手の中をSTEVE LIPPIが登場したのです。

 「セレブレイト フランクシナトラ」と題されたこのショー。フランクシナトラの曲を含む、アメリカのポップ音楽を中心に構成され、私でもどこかで聞いたことがあるような音楽が数多く演奏された。なにせ、アンコールの曲は「マイ・ウェイ」でしたから。

 STEVE LIPPIAもフランクシナトラを意識しているのでしょう。そんな感じの歌い方でした。

 しかし、演奏は最高なのに、客のマナーは最低。静かな曲になっても、喋り声が聞こえる。英語は子音が多いので、sとかshの音が、妙に気になるのだ。店長らしき人物が、「シーッ」と注意したり、回りの客が注意するのだが、全然静かにならない。その上、携帯電話の音は頻繁に鳴っている。店員でさえも、うるさい客がいると「シーッ」と注意するのに、知り合いが来ると、「元気だったか〜」と大きな声で、挨拶しているのだ。

 来日アーティストが「日本の客は、演奏中のマナーが良いのでグレーと!」と絶賛するコメントを、音楽雑誌などで見かけるが、あながちお世辞ではないのである。こちらの観客のマナーに比べれば、日本の客のマナーは最高級だろう。

 喋り声の聞こえる方を見てみると大抵、白人の若い女性である。多くの偉人が女性のお喋りを嘆く格言を残している。今までは、ちょっと大げさだなと思っていたが、こちらに来て納得した。日本でも、お喋りな女性というのは存在するが、その比ではない。ところ構わず、のべつまくなしに喋っているという印象を受ける。喋るのを止めた途端に息絶えるのではないかとする思えてくる。ショーの最中、ミュージカルの上演中くらいは遠慮して欲しいと思うが、彼女たちのそのようなマナーは期待できないようだ。これはレディー・ファーストの弊害ではないだろうか。大抵、同伴の男性が居るのだが、注意をするでもなく、黙って女性の話を聞いているのだから。

 マイ・ウェイが終わった途端に会場からはスタンディングオベイション。フランクシナトラ系は今ひとつ私の趣味ではないのだが、それでも十分に満足できる演奏と歌であった。


back to my homepage


WebMaster:Kimihiko Uchida bobubeck@can.bekkoame.ne.jp
or otherwise qzg00456@nifty.ne.jp
©copyright 2000 Kimihiko Uchida