Chicago B.L.U.E.S.

 シカゴブルースというお店がある。8th アベニュー沿いにあるお店なのだが、ハドソン川沿いに向かうほど危険になると聞いていたので、今まで行こうかどうか躊躇していたのだ。しかし今日は意を決して、シカゴブルースに向かった。

 クリストファーストリートから、西4丁目通りを8th アベニューに向かって歩く。閑静な住宅街が続く。綺麗な並木道。今日は天気もいいのでとても気持ちがよい。

 8th アベニューに辿り着いて驚いた。なんて事はない。道路の幅は7th アベニューよりもずっと広いし、人の通りもとても多い。倉庫なども一部建っているため、お店の数は少ないものの、立派な繁華街である。こんな事ならもっと早く来ていれば良かった。

 シカゴブルースの位置を確認した後、近くのレストランに入る。何料理になるのだろうか。どのガイドブックを見ても載っていないので分からないが、何となく上品なお店である。

 ビーフシチューとベルギービールを注文。ベルギービールが豊富に取りそろえられているところを見ると、ベルギー料理屋さんなのだろうか。シチューは、美味しいもののちょっと味が濃い。何かに添えて食べるにはちょうど良い味だなと思っていたら、フライドポテトが出てきた。

 夕食を終え、カプチーノを飲みながら一休み。シカゴブルースは9時半開演なので、早く行っても、店が開いていないのだ。

 9時過ぎにシカゴブルースへ。お店に入ろうとしたのだが、まだ開いていない。

 おかしいなぁと思って、よくよくお店の看板を見ると、「シカゴブルースは←こちら」と、隣のお店を指している看板であった。

 そこで、隣のお店を見ると

 ははははは。ちゃんと、シカゴブルースと書いてありました。

 お店に入って、「カクテルは何が出来るんだ?」と聞くと「何でも注文してくれ。」と言う。そこで、「じゃぁ、シンガポールスリングを。」と言ったところ、「おまえはコズモポリタンか?」と聞かれた。「え?」と聞き返すと、私が英語を聞き取れなかったのかと思ったのだろう。ゆっくりと、「お・ま・え・はコズモポリタンか?」と再度聞き直された。何度聞いてもコズモポリタンと言っている。何度も聞き直しているうちに、「おっけー、おまえはコズモポリタンだ。」と言ってウェイトレスは行ってしまった。

 相手の言っている意味が分からないときに、聞き直すのではなく、「どういう意味だ?」と聞き返す事が出来ればいいのだが、どうも英語に自信がないので、「え?」と聞き直してしまう。もしかしたら、私が英語を聞き取れないために、意味が理解できていないのかなと思ってしまうのだ。後で、再度、「さっき、コズモポリタンって聞いた意味は、何?」と聞き返したが、結局教えてくれなかった。

 しかしながら、出されたシンガポールスリングはなかなか美味だった。シンガポールスリングを味わいながら店内を見回す。ステージには、シカゴブルースの文字。そして横の壁には、写真がたくさん飾ってある。このお店から出たアーティストの写真なのだろう。随分古いものもある。時代を感じさせる。

 ステージ上にメンバーが揃い、演奏がスタート。のっけから、ノリノリの音楽だ。ブルースと言っても、どちらかというとR&B。私にはやはり、ピアノ、管楽器によるモロジャズよりも、こちらの方が性にあっています。自然と身体がリズムに合わせて動き出す。ギターの音もなかなかいけてる。

 構成は、ギター二台、ドラム、キーボード、そしてベース。片方のギタリストがボーカルも取る。ベーシストはシン・リジー(シン・リジーってご存じでしょうか?多分私と同じ年代か、それより多少上で、中学時代に洋楽を聴いた人でないと、知らないかもしれません。)みたいな風貌。小さめの黒のサングラスをかけ、上目がちに客席を見ながら、ニヒルにベースを弾いている。キーボードはハモンド風の音を響かせながら、酔ったようにキーボードソロを弾いている。(キーボードにはローランドって書いてありましたけどね。)で、ギター二人が弾きまくり。これこれ(^○^)

 4曲目に入ったときのこと。突然、女性のソウルフルな歌声が聞こえてきた。会場は割れんばかりの拍手。なんと、さっきまでステージ横のソファで、死にそうになって横たわっていた太ったおばさんである。その時には、こんなんで音楽が聴けるのかなと思うくらいに、よろよろとしていたのだが、ステージに登場したときには、腰を振り降り、飛びはね、ノリノリである。プロって凄いなと思う。

 彼女の名前はスウィート ジョージ ブラウン。ハスキーでソウルフルな歌声が滅茶苦茶格好良い。「ノッてるかい!」と客席をガンガン煽る。MCもなかなか凄い。「私は4回結婚した。一人目は。。。」「二人目はの旦那は、口が良かった。」と結構下ネタ系。だが、会場は大喜びである。「そして4人目の旦那は、、、、4人目の旦那は切手収集が趣味だった。」とオチが付いて、そのまま歌に入る。「二人目の〜♪、旦那は〜♪」と、MCから歌への流れも計算されているのだ。

 「私はブローチが好きなの。」「みんなブローチは好き?」「じゃぁブローチが好きって叫ぼう!」「ブローチが好き!」「ブロー(チ)が好き!」どういう意味だろうと思っていたら、トロンボーンを吹きながら、もう一人のメンバーが登場。多分ブローかブローチと言う名前のアーティストなのだろう。

 ここでショーは最高潮に達する。トロンボーンも顔を真っ赤にしながら、ソウルフルな演奏を披露。そこに、ギターソロが絡む。絶妙のバランスだ。この興奮は是非カメラに納めようと、カメラを取り出したのだが、何度スイッチを入れてもカメラが動かない。バッテリー切れである。せっかくショーが始まる前に「写真を撮って良いか?」と許可を求め、画像に残すことを楽しみにしていたのに残念である。まぁ、また来ればよいか。

 最後にスウィート ジョージ ブラウンが客席に降りてきて、歌いながら客と握手。私も手を伸ばして握手して貰いました。そのまま彼女は舞台袖に引っ込んでショーは終了。興奮の1時間半でした。病みつきになりそう。。。。


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