間違い電話

 私の住んでいるアパートは家具付きなので当然、電話も最初から付いていた。ところが、この電話に毎日のように間違い電話がかかってくるのだ。最初のうちは、先月までこの部屋に住んでいた人宛のものだった。

 「シェリー?」
 「ノー!ジス イズ ぼぶべっく!」

と言うと、「ガチャッ」と切る人もいるが、多くは切らずに更に話しかけてくる。

 「シェリーはどこへ行ったんだ?」
 「知らん。」
 「おまえはいつからここにいるんだ?」
 「今月からだ。」
 「ここの電話番号は何番だ?」
 「○○○−○○○○」

等々。このような会話が夜な夜な繰り返されていた。ところが最近は、このような電話が減って、このアパートメントを紹介してくれた不動産屋さんの電話番号だと勘違いして電話をかけてくる間違い電話が増えてきた。

 「○○インターナショナル?」
 「ノー」
 「ベッド付きの部屋を探してるんだけど。。。」
 「だから、うちは○○インターナショナルじゃないってば。」

こんな間違い電話が毎晩かかってきてはたまらないので、

 「○○インターナショナルの電話番号を教えましょうか?」
 「ええお願いします。」
 「○○○−○○○○」
 「サンキュー」

と、不動産屋の電話番号を教える事にしている。

 そして今日は、また新たな種類の電話がかかってきた。

 「○○さんですか?(名前は聞き取れなかったが、私の名前ではなかった。)」
 「ちがいますけど。。。。」
 「△△銀行のものですけど、最近・・・・。」
 「ちょっと待った。何のために電話してきてるんだ?」
 「べらべらべらべら・・・・・。」

面倒だったので、「アイ ドント アンダースタンド!」と言ったが、向こうは電話を切らない。間違い電話ではなく、どこかの銀行の、何かの勧誘の電話のようである。そこで、

 「アイ ドント ニード イット! ビコーズ オブ ショート ステイ!」と言うとようやく、向こうは「短期の滞在ですか。分かりました。」と言って電話を切った。

 間違い電話一つとっても、日本とこちらでは、その後の対応が大きく違うようである。相手の迷惑を顧みずに、ああだこうだと話しかけてくるこちらの人の前向きさには、感心するばかりである。さすがに、眠りかけた時にかかってくる間違い電話の時は、向こうが何か話しかけても、「ジス イズ ボブべっく。アイ ドント アンダースタンド!」と言って、がちゃりと電話を切ってしまいますけどね。


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