個人投資家

 どうも、毎日レストランの話ばかり書いているので、美味しいものを食べるためにNYに言ったのかと思われそうです。毎日、投資理論の講義を受けたり、会社の組織の話を聞いたりしているのですが、なかなかここに書けるような話がないのです。でも、今日は少しまじめな話を書いてみましょう。

 401Kプランの話を聞いていたら、こんなアンケート結果を教えてくれました。401Kプランを利用している個人投資家に、運用会社に望むことをあげてもらうと、こんな解答になるそうです。

1.優れた長期パフォーマンス
2.明瞭で一貫した投資哲学
3.安定した投資パフォーマンス
4.投資目的とリスク回避度の理解
5.投資決定過程がきちんと定められていること
6.優れたポートフォリオマネージャー
7.手数料が低いこと
(グリンウィッチ・アソシエイトの調査)

 さて日本の投信を購入している個人投資家に同じ質問をしたら、どのような解答になるのでしょうか。多分一番に上げられるのが、「自分が買った直後から大きなパフォーマンスを上げること(短期で売却するつもりなので、儲かって売却した後にそのファンドどうなっても関係なし)」なのではないでしょうか。1番や3番、6番、7番なども上げられるのでしょう。しかし、2番や4,5番などは日本の投信を購入する個人投資家が運用会社に求めているとはとうてい思えません。(このサイトを読んでいる個人投資家は別だと思いますよ。投信をどのような考えで投資しようと考えている投資家の方が、このサイトに辿り着くのでしょうから。)

 このアンケート結果を見る限り、アメリカの投資家は非常に洗練されているように思えます。そこで、何故、これほどまでにアメリカの個人投資家が洗練されているのか聞いてみました。すると、ERISA法の存在とコンサルタントの役割をあげたのです。

 (注)ERISA法とは、運用会社の責任を定めた法律。プルーデント・マン・ルールという形で、運用受託者は委託者の資金をプロとしての自覚と責任を持って運用しなければならないと定めています。現在はプルーデントマンルールからプルーデント・インベスター・ルールに改善され、ポートフォリオ理論に基づいて、運用者の責任を説いています。

 昔は、アメリカの投資家も、これほどまでに投資に対して洗練されてはいなかったそうです。しかし、ERISA法(普通にローマ字読みでエリサと読んでください)によって運用会社は、401Kプランを採用する会社に対してきちんと、投資教育をしなければならないのです。(私もERISA法の詳細は知らないので、どの条文がこのことを意味しているのかは分かりません。悪しからず。)その結果、コンサルタントを利用して、401Kプランを採用する会社に対して投資教育を行い、その会社は従業員に対して投資教育を行う。この手順がきちんと整っているのだそうです。

 翻って日本の現状を考えてみましょう。確かに401Kプランは導入の方向にあります。そして、現在は、対象となる金額の少なさ(サラリーマンの場合、ほとんど利用する意味がないほど少ない額しか401Kプランを利用できません。)や税金控除の問題ばかりが議論されているような気がします。確かに、税金や利用限度額の問題も重要なのですが、運用会社の責任、そして投資家教育と言った視点は、全く欠けているような気がします。そして、現状の日本でコンサルタントの利用がすすむとは到底思えません。なにせ、形のないものに関しては、お金を払う文化がないですからね。日本には。

 そう考えると、401Kプランの導入だけで、投資信託への資金の流入がすすむとは到底思えないのです。確かに、現在の低金利を考えると、多少リスクをとっても、投資信託を購入しようと考える投資家は多いでしょう。しかしそれは一時的なものです。投資家が老後の資金のことを考慮して、長期の安定的な資金を投資信託に振り向けるようになると考えるのは、現在では少々無理があるような気がします。


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