サイン

 今日の夕食は何にしようと、アパートの周りをうろうろしていたときのこと。イタリア料理屋の前を通ったら、窓際で美味しそうなコロッケを食べているのを見かけた。そのコロッケを見た瞬間に、そのお店に吸い込まれるように入ってしまった。

 メニューを見たところ、コロッケなんてメニューはない。多分、コロッケのように見えたのは前菜のライスボールだろう。当然、そのライスボールを注文する。そして「今日のおすすめ」ツナのグリルを注文する。

 前菜の前に、パンが出てきた。ちょっとピザっぽい味付けのパン。なかなか美味しい。しかし、美味い美味いと食べ過ぎると後で後悔するのが目に見えている。一口だけ食べた後は前菜が出てくるのをじっと待った。前菜のライスボールはトマトソースの味付け。チーズがちょっと入ってなかなか美味しい。

 メインのツナグリルも、くどすぎず、といって、全く味がないわけでもなく、なかなかの美味。ただ、さすがに、サイズがでかいので、半分まで食べると飽きてくる。しかし、今日は昼も控えめだったし、お腹が空いていて勢いがついていたので、最後まで平らげてしまった。

 カードで支払い帰宅。自宅で、レシートをチェックしていたときのこと。そのレシートが何かおかしい。見慣れたレシートとちょっと違うのだ。何が違うのだろうと、じっとレシートを見続けていたら、やっと分かった。サインを忘れていたのだ。チップの額と合計額を記入した後、サインをせずに店を出てきたようだ。

 サインをしなかった場合にカードの支払いはどうなるのだろう。確認のために、そのまま放っておくというのも一つの手だが、カードが支払い停止にでもなったら一大事だ。普段ならまだしも、NYでの生活は、カードがないと成り立たない。トラベラーズチェックだって、最後まで保つとは思えない。そう思い、レシートを片手に、夕食をとったイタリア料理屋に再度向かったのだった。

 

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