終わりの始まり

 NYダウは年の初めの1月3日、139.6ポイント安の11357.5ドルで引けた。金利上昇を嫌気しての調整で、テクノロジー関連の強気見通しは変わらないと、朝のニュースでストラテジストが語っていたが、私は一抹の不安を覚えるのだ。

 思い起こしてみれば、ちょうど十年前の1990年1月4日。日本の株式市場は前年末に史上最高値を更新し、前途洋々だった。しかし、引けてみれば202.99円安の38712.88ポイント。その後、債券先物は8日連続でマイナスとなり、利回りで見ると5.632%から6.492%まで上昇した。そして株式市場は悪夢の暴落の始まりとなったのだ。当時、経済実勢には微塵も陰りが無く、株式市場の下げも一時的な調整と思われていた。しかし、結果的には3ヶ月で一気に3万円まで下げ、その後は中東戦争もあって、10月には2万円を割る水準まで暴落したのだ。

 どうも、10年前の日本の株式市場と現在のNY株式市場が似すぎている。NYも現在金利は調整局面入りとなっている。2000年問題を控えて金利を据え置いたFRBは、2月にも金利の引き上げを視野に入れてくるだろう。

 バブルの絶頂期には新たな投資理論が登場する。10年前はQレシオだった。土地の含み益を全て株価に還元したときの適正水準をはじき出し、株式を買いあさった。現在のNY株式市場では、将来の利益を確率論的に予測し、そこからディスカウントモデルを利用して株価の適正水準をはじき出す考え方が登場している。Yahoo!の株価も、現在の株価を正当化する利益を達成できる可能性が数%は存在すると言うことを支えに、株価は買い上げられている。

 今まで日本では、誰もが「NY株式市場はバブルだ」と叫んでいたが、結局大きな調整はなかった。しかし、オオカミ少年と同じように、もう騙されないぞと思ったときに悲劇は起きるのだ。今年のNY株式市場は注意して臨む必要があるだろう。



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